ポエジィ墓場の棺桶屋

どっちだっていいし、僕には大したことじゃないよ。

架空のフリーライターを燃やさない5つのステップ

 話題になった架空のフリーライターの件について、簡単に言えば第一弾記事がステマであり第二弾記事がこだわりと遊び心の欠如が遊びには見えない釣り文章を生み出しみんなをガチで心配させてしまったという話だ。フリーライターという職業柄、連絡が取れないとなると何か事件に巻き込まれたりだとか病魔が襲って孤独に死んだのではなんて憶測を生み出すのは仕方ない。扱う題材の割にあまりに手順を飛ばしてしまっていた。
 ならばどうすればよかったのか、ということを自分なりにここで書いてみていきたい。


 そもそも前提として、このゲーム「カリギュラ」は説明を見る限り仮想世界から現実への脱出を目論むゲームだ。仮想世界(メビウス)の支配者であるバーチャルアイドル『μ』が多種多様の素晴らしい音楽で現実で大きな悩みを持った若者をたぶらかして仮想世界に(ここを仮想世界と気づかれないように)誘い込み、そこで理想の学生生活を送らせるというウツボカズラ(食虫植物)みてえな世界観のゲームである。となると行きはヨイヨイ帰りは怖い、ここが仮想世界だと気付き現実への脱出を試みる主人公率いる帰宅部と『μ』の対立が始まる訳である。魚拓で頑張って確認した。
 で、ここで架空のフリーライター内川たまきの登場である。彼の役割は最初の特集記事でこのゲームの特典CDの魅力を心酔した様子(これもそれほど熱量なかった)で伝え、そして今回の簡潔な失踪記事で『μ』に導かれ仮想世界に消えた、という茶番PRをやりたかったのだろう。今謝罪記事を確認したらもう1つ、ゲーム内で内川たまきんを探索する記事もやるつもりだったみたいだ。ともかく工夫もクソもない直球炎上ど真ん中の「フリーライター内川たまきと連絡可能な方を探しています」と善意しか呼び起こせないタイトルで始めて、内容もイマイチ架空ともPRとも取れない文章になってしまっていた。悪手を踏みすぎではないか。たまきんにはメビウスで幸せになって欲しい。


 という前提を踏まえた上で自分なりに今回の失踪記事をセーフティに書いてみたい。要点を整理しよう。
 1つ、内川たまきは既に第一弾特集記事で現実の存在として振舞っている。
 2つ、そこで紹介されたゲームの設定を踏まえる。
 3つ、現実から虚構世界へ移ったことを徹底的にメタに書く、或いはたまきんの主観を続けるのもいいかも(まだ考えてない)。ともかくPRと分からせる。
 4つ、その上失踪記事から見た読者にも誤解を与えない。
 5つ、過激なタイトルと単語は控える。
 ここら辺を抑えれば何とか乗り切れるはずだ。何とかのハードル高くない?もっと楽に仕事しない?





カリギュラで人を探しています(PR)』
 いつもインサイドをご覧頂きありがとうございます。この度は幣紙に記事(【特集】精神障害を歌うRPGカリギュラ』の楽曲に迫る-歌詞がざわめきへと変わり、心をえぐる)を寄稿して頂いたフリーライター内川たまき氏についてご報告がございます。恐らくですがーーというよりこの様にしか説明のしようがないので当社としても甚だ困惑するばかりなのですがーー『カリギュラ』の仮想世界であるメビウスへ失踪してしまいました。
 

 内川たまき氏は『カリギュラ』とその楽曲をいたく気に入っており、記事を書いて頂くにあたってお送りしたリリース前の特典CDを常に聴いている様子でした。先日に掲載された記事は編集後のものですが、編集前の段階では記事内にカリギュラや楽曲について過剰な表現が多く見受けられました。読者の皆様との距離感を見誤るほどに心酔し執筆していた、という表現でも全く過剰ではないでしょう。「“楽曲に共感して異世界へと導かれる”という設定には非常に説得力がある。日常で同じようなことが起きていてもおかしくない」という記述もご覧頂いたと思います。彼は打ち合わせで「メビウスは素晴らしい世界だ。生活も楽曲もバーチャルアイドルとしての『μ』も全てが私の心を洗っていく。この世界に取材に行けるなら取材したい。この素晴らしい世界を皆さんにお伝えしたい」「現実はクソ」と常々言っておられました。そして先日の記事を寄稿後、そのままメビウスへと導かれてしまったという次第です。


 当社と致しましては6月23日発売予定のPSvita用ソフト『カリギュラ』内にて内川たまき氏の行方を調査し、その様子を逐一報告させて頂きたいと思います。また、読者の皆様の中でもし『カリギュラ』をお買い上げ頂ける方がいらっしゃいましたら、お手数ですが是非メビウス内にて内川たまき氏を探して現実世界へ連れ帰って頂くようご協力をお願い致します。いえ、あの、もちろんゲームソフトはこれから大量にコピーされ出荷されますから内川たまき氏が一体何人帰ってくることになるのか想像もつきませんが、まあきっと多いに越したことはないでしょう。長くなりましたがどうか、大量のフリーライター内川たまき氏のことをよろしくお願いします。





  ……とまあこんなモンだろうか。そもそも第一弾のたまきんの記事が釣りでありステマからは逃れられないと思うのだが、ステマだけの炎上ならここまでは燃えなかったと思うのでせめてこれくらいに収めた方が良かったのではないか。悪意はあるが他人の善意までは削らないだけでも今時ずいぶんとマシではないだろうか(ダメ)。きっと第一弾の釣り記事すっ飛ばしてPR企画明確にしてこんな感じの記事から始めれば何とか乗り切れたのでは。


 あと、たまきんのキャラクターをもっと活かしたかった。人となりが分かればもっと広がりを持てる内容になった筈だが、どうも真面目な感じだし開発元に教えてもらえるわけでもないし。それであまり冗談らしい冗談も挟めなかった。シリアスな展開にしてゲームまで意識を持っていきたいのも分かるが、それであんなことになるし、恐らくたまきんはキャラクター紹介にも乗らないモブもいいとこのキャラである。これくらいの扱いにしてゲームにそっと花を添えるくらいでいいと思う。以上。長々とお付き合いありがとうございました。