ポエジィ墓場の棺桶屋

どっちだっていいし、僕には大したことじゃないよ。

大喜利或いはブコメ養成講座2

お久しぶりですグースピです。引っ越しが終わってやっとこさ落ち着いたので前回の続き行きたいと思います。前回は大喜利におけるボケとは何か。今回はプロが如何にプロであるか。剥き出しのセンスだけではない、大喜利の大きな流れの作り方について。


セミプロとプロのお笑いの大きな違いは流れを読めるか、あるいは作れるか、掴めるかというところにある。セミプロは大喜利に対して、ただ自分の一番面白いと思う答えを出しておけばいい。ベストな答えは確かに面白いだろう。でもそれは単発だ。そして大体単調だ。それが積み重なったところで、それはセカオワのアルバム構成のようなものにしかならない(セカオワ本人達もアルバム構成を「ベストを並べる」みたいなこと言ってた。いまは知らない)。かたやプロは答えの流れによってボケの種類を細かく切り替え、セミプロにとってはそれほどではないセンスの筈の答えでもドカンドカン笑いを取っていく。


では、その流れとは何か。


最新のipponグランプリで分かりやすかったのは「初めてドラゴンを退治しに行くのですが、アドバイスをお願いします」だろうか。これは一般回答も多かったと話されていたが、そこらへんの解説も含めて。
まずはこのお題に答える際の着眼点について。「ドラゴン退治」がキーワードになる。この壮大なファンタジーというフリを、如何にしょうもない現実というボケに落とすか。非常に分かりやすい構成のお題となっている。一般だろうがプロだろうが誰が見てもとりあえずそうボケればいいと分かる良題である。ここでざっと回答の流れを見ていきたい。

 

 まず若林さんが「着いたらまずファストパスを取った方がいいよ」と答える。そして秋山さんが「一人だと絶対無理なので何人かでレンタカーを借りてった方がいいかもね」と答え、塙さんが「ではまずこの屏風からドラゴンを出してみよ」と答える、若林さんが「口の中にマヨネーズを入れると火を吹かなくなるよ」、塙さんが「思ったより全然小さいから虫カゴが必要だよ」、ジュニアさんが「いや、昨日林んとこのオカンが倒したんやて」「ドラギョンのことは詳しくないのでギョめんなさーい」「倒した後の囲み取材が面倒くさいねん」、中だるみ飛ばして今野さんの「お前大学どうすんだよ」、とまあここまでにしとくが、プロらしい美しい駆け引きがここにはあるのである。
 それぞれの答えの大きな着眼点に注目して欲しい。最初の若林さんの答えはドラゴンをアトラクション扱いにし、秋山さんはレンタカーでピクニック気分に落とし、塙さんは童話とかけて、若林さんは物足りない防火術をアドバイスし、塙さんが大きさに着目して小さく扱い、圧巻の三連続ジュニアさんは近所のオカンレベルの出来事にして、聞く当て違いのキャラクターに答えてもらい、大して大事じゃないアフターケアですかし、今野さんはそもそも質問者への心配を。全員が違う着眼点へのアプローチなのである。例えば、若林さんのようにドラゴンをアトラクション扱いにする場合もいくつか答えはある。「ファストパス持ってった方がいいよ」「2時間待ちだからサメ行った方がいいよ」「どの遊園地のやつ?」などなど答えられるが、同じ着眼点は飽きられるのが非常に早い。だから次々と聴いてる人の目線や思考を新鮮なところに動かしまくり効率よく一本を取っていく。そしてその中でも着眼点の中で一番いいと思われる答えを手早くめまぐるしく出していく。このお題で今野さんが答え辛そうだったが、これくらい恐ろしいスピードで手数は潰されている訳である。だからこそこんな中で(違うブロックではあるが)サンドイッチマンの伊達さんのようにそんなしがらみ関係なく自分の色をマイペースに出し続けるというのも観客にはいい目線の切り替えになっていたのである。


いつ見ても恐ろしいハイレベルな世界がそこにある。インターネット大喜利とは違って時間の流れ続ける場所だから、ロジック、発想のスケール、キャラクター、その全てを掌握しなければ優勝出来ないホントに厳しい大会である。時々参加する素人が周りについて行けてないのは、これが理由だ。セミプロとプロの違いそれは流れを読む、つまり着眼点をしっかり把握し答えを出していく巧さにあるのだ。